2013年、事業譲渡を受けて誕生した貸し会議室NATULUCK。神田、飯田橋、日本橋、茅場町、赤坂等、都内を中心に貸し会議室を展開する。同社のスペースコンセプトは、「丁度いい」だ。高級路線を行くでもなく、低価格の安かろう、悪かろうでもない丁度よさ。その戦略や同社の会議室の特徴について会議室コンシェルジュの代表取締役 崎山氏に話を聞いた。
アジェンダ
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牛丼の松屋をベンチマークに
NATULUCKは事業譲渡により2013年に誕生。もともと同社の今の役員である菅原(智美)氏が貸し会議室事業を行っていたが、売上は低迷し休眠状態だったため、崎山氏が事業を受け継いだ。なぜ貸し会議室事業に参入したのかを尋ねたところ、「過去に不動産業に携わり店舗運営のノウハウがある」「今後、シェアリングが注目される」「ビルや建物はどんどん新しいモノが建ち、古いビルには中々貸し手がつかない。その状況は逆にチャンスと感じた」と3つの要因を挙げた。
同社のビジネスモデルは、すでに会議室を持っている企業やオーナーを対象にその遊休時間を会議室として貸し出すモデル。会議室運営のための設営から清掃、メンテナンス、営業等をワンストップで提供し、オーナーはすべてをまかせておけばよい。オーナーとWin-Winの関係を築くことができるのが特徴だ。今では、NATULUCKを中心とした直営会議室が約30、エージェントとして300の会議室と提携し事業を行っている。
同社の会議室のコンセプトは、「丁度いい」。過剰なサービス、品質で高価格路線を突き進むわけでもなく、かといって品質を犠牲にした安さを追い求めるわけでもない。丁度よい品質、サービスを適切な価格で提供することを目指している。そのベンチマークとして、「牛丼の松屋の丁度よさが居心地良い」(崎山氏)と語る。お店に入ると券売機で食券を購入、店員に渡し、牛丼を食べる。「価格にみあった価値を提供している」とした。
会議室の「立地」と「空間デザイン」にはこだわりを持つ。立地は駅近物件に徹底している。駅近だからと言ってどこでもよいわけではない。どの駅で展開するかを決めることは重要。その決断をするにあたり、「徹底的にテストマーケティングを行う。そしてうまくいけば本格展開に移る」「だから、弊社の貸し会議室は失敗が少ない」と崎山氏は語る。空間デザインは、シンプルさを追及する。会議室の内装デザインはオーナーの色が出てしまうことが良くある。それが度を超えると逆に利用者が使わなくなる。「シンプルさが一番です」(崎山氏)とした。
社長の度肝を抜いたユニークな利用法とは?
同社会議室の利用用途は、会議やセミナー、採用、研修、勉強会などがメインだが、「他にも色々な面白い使い方もある」(崎山氏)といくつかの実績を紹介した。以前、30名の会議室に利用者1名という申込みが入った。間違いではないかと、社長自ら予約した方に問い合わせたところ、その利用者は「このスペースで鉄道のジオラマを作る。そこで試運転を行う」とし、社長の度肝を抜いた。鉄道ファンが大掛かりなジオラマを作る名目で広い会議室を借りたのだ。
他に、秋葉原の会場ではカードゲーム大会の場として、またアイドルのイベントや握手会、コスプレ、英会話レッスン、販売会、撮影現場の機材置き場等、多岐にわたる利用例を紹介した。同社は自社内にコールセンターを抱えているため、利用者ニーズにあわせた提案も可能だ。
利用者は中小企業から上場大手企業まで幅広く、リピート顧客が多いという。「この業界はリピート顧客が多くないとやっていけない」(崎山氏)とした。リピートを増やすための取り組みについて聞くと、「とにかく会議室の丁度いいを追及していくこと!それで利用者の満足度は上がり、リピートにつながる」として、自分達の価値を深く追求していく姿勢を貫いた。
会議室利用者にとっての丁度いいを追及し、利用者を増やすNATULUCKブランドの会議室。今後もその動向に注視していきたい。(BizMICE編集部)
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