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2018年4月3日

グロースハックで売上を伸ばす!富士フイルム、スタッフサービスのサイト改善事例

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2018年1月24日、東京・表参道にある宣伝会議本社にて『ビジネス成果に直結するグロースハック実践セミナー』が開催された。定員120名のところ場内は満席、立見が出るほどの盛況ぶりだった。第一部は、UNCOVER TRUTH 取締役 COOの小畑氏が登壇。グロースハックのサイト改善事例を紹介した。その内容をレポートする。

アジェンダ

  • 勘・経験・度胸 vs. データ活用!両社の意思決定の違いとは
  • 富士フイルムのフォトブックサービスのグロースハック事例
  • スタッフサービスのグロースハック事例

 

勘・経験・度胸 vs. データ活用!両社の意思決定の違いとは

 

「K・K・Dは社員をすり減らす仕事だ」。小畑氏の講演は、この一言から始まった。K・K・Dとは、勘・経験・度胸の略。小畑氏の前職ではWebサイトの改善活動において、このK・K・Dによる意思決定がされていたという。その方法に限界を感じ、小畑氏はUNCOVER TRUTHにJoinした。では、K・K・Dとデータに基づく意思決定の違いは何か?小畑氏は図1を用いて、その違いを説明した。

図1 あるサイトのCV比率
図1 あるサイトのCV比率

 

この図1は、あるサイトのコンバージョン(以下、CV)と非CVの比率である。K・K・D型の意思決定は、非CV層を何とかCVさせるような施策を考える。しかし、ここで重要なのは、CVしたユーザーともう少しでCVしそうな“おしい”ユーザーを見つけること。それ以外のユーザーはデータから切り離して分析対象外にする。そしてCVしたユーザーはどんなコンテンツに触れてファンになってくれたのか。その導線を徹底的に分析する。そこから“おしい”層に施策を集中して、CVさせることが重要だとした。UNCOVER TRUTHは、こういったサイトのユーザー行動を分析し、コンサルティングを行いながらPDCAを回していきグロースハックさせる。それをテクノロジーと人で支援している会社だ。

続いて、UNCOVER TRUTHのツールを活用しグロースハックしたサイトの事例を紹介した。

図2 フォーカスすべき層とは?
図2 フォーカスすべき層とは?

富士フイルムのフォトブックサービスのグロースハック事例

 

ひとつ目は、富士フイルムのフォトブックサービス。これは、自分だけのオリジナル写真集を気軽に作れるというもの。ユーザーは、デジカメやスマホで撮影した写真を富士フイルムのサーバーにアップロードすることでフォトブックを作成する。約2週間後、自宅にアルバムが届くというサービスだ。この注文数を上げるためUNCOVER TRUTHが支援を行った。図3がbeforeとafterのランディングページの違いで、これは富士フイルムとベネッセの共同キャンペーンページとなる。ベネッセは誕生日を迎えた会員の子供にフォトブックサービスのクーポンを発行。「一年間の想い出としてアルバムを作成してもらおうとする狙いだ」(小畑氏)。このランディングページは、クーポンを持ったユーザーがアクセスするページとなる。

 

図3 フォトブックのLPのbeforeとafter
図3 フォトブックのLPのbeforeとafter

 

作成できるアルバムの数は大きく分けて3種類。無料のものも含めたソフトカバーのアルバムが1つ。そして、写真のサイズが異なる2種類のハードカバーの有料のアルバムだ。いわゆるフリーミアムモデルとなる。コンバージョンするポイントは注文に至るまでにユーザーがどれだけ納得するかとなる。「せっかくアルバムをつくるのだったら、品質の良いものを作りたい、といかに思ってもらえるかが重要」と小畑氏は指摘する。

さまざまな改善を行ったが、ここではポイントを紹介する。まずはアルバムの注文ボックス(図4左画像の赤枠内)の改善。注文ボックスの構造は、縦軸にアルバムのページを選択するラジオボタン、横軸はアルバムのカバーをソフトにするか、ハードにするかを選択してもらう形式になっている。この注文ボックスをヒートマップで分析、その結果が図4の右側となる。画面右上はユーザーがマウスオーバーした箇所、右下は実際にクリックした点を表している。

図4 フォトブックのヒートマップ分析
図4 フォトブックのヒートマップ分析

 

 

この結果から、マウスはハードカバー、図4右上画像の赤くなっているポイントによくあたっているが、クリックは左のソフトカバー(図4右下の左上あたりの緑色になっているポイント)に集まっていることがわかる。ハードカバーへの興味関心がみてとれるが、迷ったあげく、ユーザーは無料版をクリックしている状態だといえる。

「この状態把握が非常に重要」と小畑氏は強調する。おしい状況なのか、まったくそうではない状態かを把握するのだ。今回の結果から、「もしマウスがまったく右にあたってなく、無料をクリックされていると、まったくおしくないと言える」(小畑氏)。しかし結果は、「ハードカバーにマウスをあて、迷った挙句、ソフトカバーを選択していることがわかる」。この層が、図2でいう“おしい層”になり、この層に対してもうちょっと背中を押せば、ハードカバーを選択しくれるだろうという仮説が導き出せる。こうしたプロセスで対象ユーザーを絞り込んでいくとした。

次にハードカバーを選択した層が、態度変容に影響したコンテンツを分析する。影響力の高いコンテンツを前面に押し出すように改善していきながら、サイトのチューニングを行っていく。

サイトの改善後、同箇所をヒートマップで分析すると図5右側のようになった。図5の右上の青い画像を見ると右にマウスは滞留せず、左のみ滞留している。一方で右下のクリックの画像を見ると、ソフトカバーの無料ボタン(左上のボタン)のクリックは多いが、右側のハードカバーの有料ボタンも多くクリックされるようになった。このことからユーザーはこの注文ボックスに到達するまでに、自分が購入するべき商品を決断しおり、まようことなく有料アルバムを購入しているのだ。結果、有料アルバムの購入率は25%アップ。注文もハードカバーかつページ数が多い高額アルバムが増えたという。

この事例から得られる学びとして、ユーザー行動を分析し「ユーザー心理を深く理解」する。ユーザー心理に基づいた「効果的な施策」につなげ、さらにその施策を検証することで「自社の資産」にすることを挙げた。

図5 改善後の分析結果の違い
図5 改善後の分析結果の違い

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スタッフサービスのグロースハック事例

 

2つ目はスタッフサービスの看護師、介護士が登録するスマホサイトの改善例。図6は左がbefore、右がafterとなる。両者を見比べると、パっと見では、ファーストビューに相談や簡単といったアクションボタンを入れただけのように見える。しかし、「ワーディングが変わっている」と小畑氏は語る。その根拠となったデータ分析のプロセスを見ていく。

スタッフサービス・メディカルのbefore、after
スタッフサービス・メディカルのbefore、after

 

図7は、サイト訪問者のログ分析のデータだ。〇の大きさはページのPV、縦軸はCVRを表している。この図は、どのページを見てくれたユーザーがCVしたかを示したもの。CVRが高いぺージは、「お客様紹介キャンペーン」「よくあるご質問」「メディカルの特徴」となっているがPVは少ない。

図7 訪問者割合別・コンテンツ貢献度
図7 訪問者割合別・コンテンツ貢献度

 

続いてリニューアル前のトップページをヒートマップで分析した(図8)。左側が説明会への登録をしなかった人、右が登録した人の分析結果だ。そしてそれぞれ左側はユーザーがスクロールしたポイントを、右側はユーザーの注視したポイントを表している。これを見ると、CVRが高かったページ「メディカルの特徴」「よくある質問」への入口が、読了率25%以下のところに置いてあることがわかる。非常にもったいない。

図8 説明会への登録 有と無の違い
図8 説明会への登録 有と無の違い

 

さらにCVRの高かったよくある質問のページを深堀してヒートマップで見てみると、「未経験でも大丈夫」「人間関係は大丈夫か」や「説明会に行くと仕事をさせられるのではないか?」といった不安心理に対応するコンテンツの注目度が高いことがわかった。これらの分析から、ファーストビューで、「週1でもOK」「福利厚生が充実」「専任の担当者がサポート」といったユーザーの不安を払拭するワードを掲載。KGIとなる登録完了数は127.8%となった。

この事例から得られる学びとして、アクセスページからCV貢献度の高いページを抽出。CV貢献度の高いページ内から「コンテンツ」を特定。ユーザーニーズに寄り添ったコンテンツの再配置の重要性を挙げた。他にもUNCOVER TRUTHはさまざまな改善案件を実施。バニラエアではチケット予約率を改善し半年間で数億円規模の売上アップ、中古車販売のガリバーはオンラインの無料査定率140%改善、営業利益で月1000万円以上の改善効果を出している。

昨今、UXO、CROのマーケットは急拡大している。それに伴いアビームコンサル、デロイト、電通、博報堂など、多くの企業がデジタル戦略の分野に参入してきている。ただしIT予算全体で見ると、「デジタル予算はまだまだ少ない」と小畑氏は語る。業務システムやデータベース等、既存のIT予算には、毎年、どこの企業も予算を割いている。そのため差別化としては多くの予算を使った企業が勝つ。裏を返せば、この既存IT予算で競争軸をつくるのは難しいと言える。一方で、UXO、MA、AI等、将来のITに予算を割く企業はまだまだ少ない。そのため、「この分野は、費用対効果が非常に高い投資となる」「先行者の優位性に直結しやすい」と小畑氏は指摘する。富士フイルムやスタッフサービスの事例をみるとそれは明らかだ。最後に小畑氏は、「より多くの企業のグロースハックを支援していきたい」とし講演を締めくくった(BizMICE編集部)

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