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2017年12月15日

YDNのクリック率向上を実現したヤフーのビッグデータ戦略 

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日本人にもっとも良く使われる検索サイトのヤフー。同社が発表した2017年2Qの決算資料によると、ヤフーのDailyUB(デイリーユニークブラウザー)は9,301万人。ヤフーが提供するさまざまなスマートフォンアプリを1日に1回以上閲覧するデイリーアクティブユーザー数(利用者)は、4,394万人にものぼる。ここから得られるマルチなビッグデータをヤフーはどう生かしているのか。ヤフーのビッグデータ戦略を探った。

 

アジェンダ

  • ネットは、“枠”から“人”の時代へ変化
  • データ分析の事例

 

ネットは、“枠”から“人”の時代へ変化

 

ヤフーの宮坂学社長は、2017年4月に開いた決算発表の席上で、ネットは、「“枠”から“人”の時代へ変化していく」と宣言した。この時代の変化に必要なのがマルチビッグデータ戦略だ。ビッグデータ戦略で重要となるのが、その目的。目的が決まらなければ、どういったデータを集め、どう分析すれば良いかも決まらない。ヤフーは、“枠”から“人”へ変化していくという大きな流れを明確化し、3つの目的を設定した。

  • 広告のクリックレートの向上
  • ヤフーが提供するサービスやコンテンツを最適なユーザーに配信する(ビュースルーレートの向上)
  • 関心度の高い商品やサービスをレコメンドしEコマースの購入頻度を上げる

データを使ってユーザーへの提案力を上げ、ユーザーの利便性を向上し、広告やECの収益増を図る。これをGoalとしたのだ。では、このGoalをどう達成しようとしているのか?

ヤフーには日々多くのデータが収集、蓄積される。宮坂氏は、ヤフーが持つビッグデータの価値について、「多様性」「ボリューム」「更新頻度」を挙げ、「ヤフーのデータに関するポテンシャルは高い」とした。ヤフーは、Y!ファイナンスやスポーツ、メール等100を超えるアプリやサービスを持ち、それぞれの利用者は多い。しかも毎日、それらにアクセスされるので、鮮度の高い情報が蓄積できるのだ。一般的にビッグデータ戦略は、データの蓄積→分析→活用という3つのフェーズに分かれるが、最初のデータの蓄積フェーズで、ヤフーは圧倒的な強みを持っている。

 

データ分析フェーズの取り組み例

 

続いては分析フェーズ。ここに関して、宮坂氏は現在、「トライ&エラーを繰り返しながら取り組んでいる」と話す。たとえばYDN(ヤフーアドネットワーク)のクリック率改善に向けた取り組みとして3つを紹介した。

1つ目は、「クリック予測精度の改善」。ネットのディスプレイ広告は従来、掲載位置によりCTRが変わる。その影響を排除し各広告のクリックのしやすさを考慮したモデルの導入に取り組んでいる。

2つ目は、「質拡張学習の活用」。検索履歴といった大量データと、ノイズが少なくリアルな行動を網羅する少量のデータを組み合わせることでターゲティングの精度向上を狙う。

そして、「位置情報の活用」が3つ目だ。最近、ヤフーを見てもらう時間や場所によって適切な広告商材やコンテンツが変わってくることがわかってきた。そこでユーザーの位置情報を正確につかみ、広告等をうまく整理して提案していけばCTRも上がる。ここの研究に力を入れているとした

この結果、確実にクリックスルーレートは向上している(図参照)。宮坂氏は、「データを使った提案活動の力を強くすることが今後、メディアやEコマース、広告、トラフィックにとっても重要になる」と話す。ただし、この中で何が一番効くのかという質問に関しては、現状、いろいろなことをさまざまやって効くとしか言えないとした。

現在、Eコマースが伸び、ヤフーはメディアも強い。今後は決済も強くしていく。これらが全部、1つのIDで紐づかせる。伸びていくEコマースのデータをメディアのニュースや広告の提案に使ったり、もともと強い検索をニュースのアクセスログで使ったりと、「事業ドメインをまたいだクロスユースのデータ戦略にもっと挑戦したい」(宮坂氏)とも語った。(BizMICE編集部)

 

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